EPISODES それぞれの「これから」

面白い世界を
いくつも創って

林 健太郎さん

(60代)外国人向けキャリアサポート他

  • F社(I/ソフトウェア・情報処理
    :ITコンサル・海外業務導入他)
  • 業務委託にて外国人向けキャリアサポート他ボランティア

文系スタートから技術系の仕事へ

新卒で入社したのは大手金融機関。金融機関に就職すれば、その先は安泰と言われていた時代。家族も大喜びでした。そんな想いに反して「仕事が面白くない」と感じ、3年で退職を決めたのです。今のように転職が当たり前ではない時代、家族含め周囲は大反対。「後悔するぞ」「もう一度考え直せ」と、何度も言われ続けました。そんな声に負けず転進した先は、従業員3名のプログラマーの派遣会社。そこで初めて技術系の仕事に触れたのですが、実に面白い!しかし経営が安定せず、今後のことを考えて思案している時に外資系企業への転進話が進み、プログラマーとして転職しました。

転職5回「行く先々で面白いものを見つけて頑張ればいい」

転職先の技術者の方はお客様とのコミュニケーションが苦手な方が多く、銀行時代の営業経験を買われて商談に駆り出され、そのおかげで技術的な知識が身についたように思います。技術者としての経験は少ない私ですが、何が幸いするかわかりません。その後、事業撤退に伴い転職し、次の職場ではSEに教える立場になっていました。

その後、縁あってF社に転職し、ストレージ製品の販売企画を経てコンサルタント部門に異動。中国・タイ・インドに長期出張しては海外顧客の課題解決業務に従事し、この仕事をきっかけに中国語もマスターしました。

ここまでの仕事を振り返ると、入社する時とは異なる業務に就いていることが多く「就いた先で面白いものを見つけ、それで世界を広げていく」のが自分のキャリアのような気がします。

その後、コロナの時期に部門縮小の話が持ち上がったタイミングで早期退職制度の案内が届いたことから制度に応募しました。

思った通りに進まない転進活動

これまで5回転進活動を経験しており、すべて順調に内定をもらっていたこともあり、気楽に活動を始めたところ、参加したジョブフェスタで見事に惨敗。傷つきましたが「これが現実」と受け止め、気楽な気持ちを一転させ「頑張ります」とキャリアカウンセラーに誓ったことは記憶に残っています。

これまで入口(入社時)と出口(退職時)の仕事が異なることが多かったので、特に強いこだわりはなく、「海外の仕事はワクワクするな」「語学力が活かせればいいな」といったふんわりとした希望を伝えていました。今思えばジョブフェスタで惨敗したのも「ふんわりとした希望動機」だったからかもしません。その後、海外赴任のコンサル会社に決定し、就職しましたが、条件が異なったこともあり、すぐに退職。再度支援サービスを受けることになりました。

次なる仕事へ 〜パラレルワーク〜

振り出しに戻った転進活動。そこでキャリアカウンセラーから提案されたのが留学生への就労アドバイスの仕事でした。一枠30分でエントリーシートの書き方や面接の受け方、業界分析等を教える仕事です。学生はほぼ中国人留学生。得意な中国語が活かせるし、転職経験が多いこともあり面接の仕方もわかっている。若者の対応だって慣れたものです。というのは、学生時代から今まで相撲をしており、今でも大学の相撲部で毎週稽古し、地元の相撲クラブの監督もしているのです。すぐに応募したところ、すんなり決まりました。

そして授業が始まったのですが、一言でいうと「とにかく楽しい」。自分が培った知見をフルに生かして、彼らを日本で就職させたいとお世話する仕事は自分に合っていると感じています。

一方、フルタイムではないので、枠が空く時期があります。「時間がもったいない」と感じていたら、タイミングよく母校から同窓会事務局のアルバイトの話が飛び込んできました。週2回、会報誌作成や大学訪問ツアー、様々な分野で活躍している先輩方を高校に招いて仕事を語っていただくイベント開催と、高校生の進路選択のヒントになるためのサポートをしています。

本当の自分の「やりがい」に気付いて

これまで意識していなかったようですが、以前の職場で新人SEに業務を教えたこと、現在まで続く相撲を地元で教えていること等、自分の知見を人に教えるのは好きなことであり、やりがいに繋がっていることを感じました。キャリアカウンセラーの方は、そんな自分を見極めて今回の求人を紹介してくれたのではないか?と思っています。正直なところ、自分一人ではこの求人を見つけることができなかったと確信しています。

自分の「やりがい」に気づいたこともあってか、少し前から東京都の観光ボランティアをしています。英語と中国語を登録し、週に1度、都内の観光場所に出没しています。また、得意語学を増やそうと、独学でイタリア語やスペイン語を学んでいます。仕事を2つ掛け持ちし、相撲クラブに観光ボランティアと、以前よりも名刺も増え、世界が広がっています。「面白い!」と思える世界が4つもあることに嬉しさを感じながらに日々過ごしています。