EPISODES それぞれの「これから」

激戦区に「洋食シェフが作る
ラーメン店」を開店

小林由美さん

(50代)「麺屋 小林」オーナー

  • IT業界/開発・インストラクター
  • ラーメン店経営

独立を決意したきっかけ

主人は洋食レストランのシェフなんです。結婚したときは、「将来二人でお店が持てたらいいね」なんて話をしていました。ただ、私もシステム開発の仕事やインストラクターが楽しかったこともあり、結婚してからもずっと同じ仕事を続けていました。私は朝早くから夜まで、主人は昼から深夜までの勤務という「すれ違い生活」。主人のレストランの経営が行き詰った時も、何も知らず、何の手助けもできないままでした。

勤めていたIT企業の業績が傾き、希望退職を実施することになりました。制度に応募した私は、退職後すぐに転進活動を開始。経験職種である「インストラクター職」に応募し、数社から内定をいただきました。そのうち1社の社長からは「今後の事業拡大の為に、力になってほしい」とうれしい言葉をいただき、入社を促されました。ただ、社長の事業にかける熱い想いや自分への期待を感じたとき、ふと冷静になったのです。
(本当に自分は、インストラクターの仕事がしたいのだろうか? また、これまでのような家族とすれ違いの毎日を送りたいのだろうか?「将来二人で店を持つ」といった、その『将来』は『今』から始まるんじゃないのか?)

ただ、せっかく内定をいただいたのに辞退することの申し訳なさもあったので、胸の内を全てキャリアカウンセラーに伝えました。一通り話を聞いた後でキャリアカウンセラーは、「内定した企業へは、きちんとお断りしておきますので、心配いりません。大丈夫、小林さんが決めた方向へ進むよう支援しますよ」と言い、「翌週に独立セミナーが開催されるから、話を聞いてみたらどうでしょう」と参加を促されました。
キャリアカウンセラーに気持ちを伝えた時点で、すでに「独立・開業」に気持ちが傾いていたのかもしれません。一方で、資金面や開店までの準備等、「独立・開業」の世界に不安がないわけではありませんでした。

開店までの軌跡

右も左もわからないまま、「独立セミナー」に参加。その時の講師が「飲食店の場合、FCやのれん分けという方法もある。全て自分ひとりでやろうと思わなくてもいいのですよ」と言っていたことが、私の気持ちを楽にしてくれました。(そうか、自分でやりたいことさえ見つければ、手段はいろいろあるんだ。こうなりたいと思うだけでいいんだ)。

その後、独立に関する個別相談やセミナーを受け、開業資金のかかる洋食店ではなく、比較的資金を必要としないラーメン店で一歩を踏み出す事を決意しました。独自性を尊重してくれる独立支援企業のアドバイスの元、店舗も見つかりました。内装は、「女性が入りやすいように」とピンクを基調にした、一風変わった店内に仕上げました。

そうそう、その頃の面談で、キャリアカウンセラーが「私、ラーメンを食べた後はさっぱりしたものが食べたくなるのですよね」とつぶやいていたことを思い出し、ラーメン店には珍しく「特製シャーベット」をメニューに入れたんですよ。そんなところでも、アドバイスが活きたような気がします。

開店後、そしてこれから

勝負の場所は、ラーメン激戦区の横浜市青葉台。私たち夫婦のなれ初めも掲載した開店用のチラシ、女性一人でも気軽に入れる内装、「洋食シェフが作るラーメン」が話題となり、おかげさまでランチ時に行列ができるようになりました。
最近、業界専門誌に掲載されたり、一昨年には横浜市のラーメンイベントに地区代表でエントリーしたりと露出が増えて、毎日忙しく過ごしています。

独立して変わったことは、当たり前ですが、夫婦の会話・・というか夫婦喧嘩が増えたかな? 今まですれ違いだったのが、今は終日一緒。ぶつかる事もしょっちゅうです。主人は厨房にいるので無愛想でもいいですが、ホール担当の私は常に笑顔でいなくちゃいけない。女優になりきって不機嫌なときも笑顔を作っています(笑)。
このラーメン店は、まだ目標の途中なんです。最終目標は「レストランの開業」。資金を貯め、主人とレストランを経営すること。それまでにホールで立ち仕事続けられるよう、もっと体力をつけないといけないと真剣に考えています。

麺屋 小林

神奈川県横浜市青葉区しらとり台34-7  (東急田園都市線青葉台駅から徒歩7分)
電話 : 045-985-1233